2018年4月22日日曜日

スペイン旅行(2018) メスキータのパッヘルベル 高速列車のバーバー



 メスキータとは、スペイン語で<モスク>という意味だけれども、一般的にはコルドバの、あの赤白アーチが並んだ巨大なモスクを意味する。
 半年前のスペイン旅行では、何の予備知識もなくこの巨大な、というか広大なモスクに入り文字通り驚嘆したけれども、2回目となった今回も驚きはいささかも減じることはなかった。
 さて、メスキータ見物を終えて、外に出てきて<花の小路>などを回り、ところどころの美しいパティオなどを見物して自由時間となる。メスキータ外壁に沿う道を挟んで連なっている商店街の日陰で、独り、時間を潰していると、どこかから音楽が聞こえてくる。パッヘルベルのカノン、である。
 音のする方に向かって歩いてゆくと、ベンチに腰かけて演奏している2人の(恐らく)スペイン女性・20歳くらいの若い女性たちがいた。一人はチェロを、そしてもう一人はバイオリンを弾いている。
 バイオリンとチェロだけで、このカノンを演奏しているのだけれども、この2つの楽器で十分であるほどに音はコルドバの春の空に響いていた。うまく編曲もできているのだろう、このニ長調の希望と哀切の入り混じったステキな曲が、笑顔を浮かべた美しい二人の女性によって奏でられている、生きていることを歓喜するかのように。

 今でこそ、このパッヘルベルのカノンは人気があるけれども、恐らく、大昔は、パッヘルベルの時代には、とても愛されるような曲ではなかったはずである。<古楽奏法>に固執する(?)ラインホルト・ゲーベル(Reinhold Goebel)が指揮しているCDを私は持っているけれども、パッヘルベルの楽譜をバロック時代の奏法で響かせると、全く魅力がない。機械的で冷淡で何の感情もないバロック(奏法)の曲が、しかし、ロマン派風に編曲されて演奏されると、自分の身体が天上へと螺旋を描いてゆっくりと上昇してゆくような高揚感を与えてくれる作品となる、から不思議である。


 コルドバからマドリッドへ向かう高速列車には、座席にステレオフォンジャックがあった。ショルダーバックからステレオイヤフォンを取り出し、差し込む。チャンネルが5つくらいあり、中の一つはクラシックのものだった。幾つものいい曲が流れてきたけれども、曲紹介は(2曲か3曲ごとに曲紹介の女性の声が入った)スペイン語のみなので、さっぱり理解できない。幾つものいい曲のタイトルは、それゆえ、ここに記すことはできない。ただ、バーバーの<弦楽のためのアダージョ>が流れてきたことだけは覚えている。
 恐らく200キロ近くの速さで北上する快適な車内。窓の外にはオリーブ畑が広がり、それが次々に後ろへと遠ざかってゆく、飛び去ってゆく。








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